今回は水質検査の内容について説明します。
貯水槽清掃時に行われている水質検査は,10項目というものが一般的です。
項目数は各自治体などの基準も関係してくるので一概に何項目ですとも言えないのですが、最低10項目を行っておけば間違いないでしょう。
当社でも通常の水質検査では10項目で検査させていただいています。
さて、その内容が報告書を見ても、さっぱりわからないという方も多いのではないでしょうか?
簡単に内容と基準値、基準値を超えた場合どのようにまずいのかなど、見ていきましょう。
1 一般細菌
基準値: 1mlの検水で100個以下であること
一般細菌とは特定の細菌を指すのではなく、いわゆる雑菌の事を言います。
そのほとんどが病原性がないもので、汚染された水ほど多く一般細菌が検出されるので、水の汚染や安全性の指標とされています。
2 大腸菌
基準値: 検出されないこと
大腸菌は人や動物の腸内に生息する菌で、一般的には病原性はないが、一部に下痢や腸炎などを引き起こすものがある。
また大腸菌群は、糞便由来ではない細菌も含むのに対して、糞便汚染の指標としての信頼性が高い。
3 硝酸態及び亜硝酸態窒素
基準値: 水1リットル中に10ミリグラム以下(10mg/L以下)
亜硝酸態窒素は体内に入ると体内の酸素を運ぶヘモグロビンと結合して、メトヘモグロビンになる。
このメトヘモグロビンには酸素を運ぶ力が無いため、体内に酸素が不足し、メトヘモグロビン血症を起こす原因となる。
また硝酸態窒素が体内に取り込まれると、体内の還元菌によって亜硝酸態窒素になって、乳幼児のチアノーゼやブルーベビー症などの原因となる。
4 塩化物イオン
基準値: 200mg/L以下
自然の中でも塩化物イオンは広く存在しており、主に地質に関係している。
水が海水、排水、し尿などにより汚染されると増加する。
過剰摂取は心臓病や肝臓病患者への悪影響がある。
基準値を超えると塩味を感じるようになり、配管などの金属を腐食させるので濃度が低い方が望ましいとされている。
5 有機物(全有機炭素(TOC)の量)
基準値: 3mg/L以下
水中に存在する有機物に含まれる炭素の総量のことを指す。
炭素は有機物の主要成分であるので、全有機炭素(TOC)は有機汚染物質の一番分かりやすい指標となる。
有機物の数値が小さいほど、水の味はよく感じられる。
6 pH値
基準値: 5.8〜8.6
水の酸性やアルカリ性を表わす値で、pH=7が中性、数値が7より小さいほど酸性が強く、7より大きいほどアルカリ性が強い。
水の最も基本的な性質で、水質の変化に直接影響する。
7 味
基準値: 異常でないこと
水の味は、水の中に存在する物質の種類や量によって感じ方が変わる。
海水の混入で塩味がしたり、消毒用の塩素の過剰注入によって渋味などが感じられたり、給水管からの鉄・銅・亜鉛の溶出で金属味・渋味がを感じる事がある。
8 臭気
基準値: 異常でないこと
臭気は水中の物質が空気中に気散することで感じる。
藻類や放線菌などの生物がもとになるかび臭、藻臭、魚臭や有機化合物の汚染がもとになる薬品臭、油様臭や給排水施設がもとになる臭気などがある。
9 色度
基準値: 5度以下
色度は水の色を数値で表したもの。
黄褐色は主にフミン質(植物などが微生物によって分解されたもの)。
赤褐色は鉄。
黒色はマンガン。
青色は銅。
白色は亜鉛などがある。
10 濁度
基準値: 2度以下
濁度は、水の濁りを数値で示すもの。
成分は粘土性物質、鉄さび、プランクトン、有機物質などで構成されている。
基準値を超えると肉眼でも濁りが分かるようになる。
なお水道水の原水となる、浄水場では濁度を0.1以下にするよう指導されている。
以上10項目見てきましたが、 基準値を超えるものがあった場合、さらに詳しい検査をして汚染の原因を突き止め、改善する必要があります。
また保健所に報告する必要も出てきますので、覚えておいてください。